■平成29年度 夢・化学―21 化学への招待

北海道大学化学系への二日体験入学 報告

 

主催 日本化学会北海道支部
共催 夢・化学―21委員会
後援 北海道教育委員会
    札幌市教育委員会
    北海道大学
日時 平成29年8月3日(木)、4日(金)
会場 北海道大学大学院理学研究院(札幌市北区北10条西8丁目)
        〃  大学院先端生命科学研究院(札幌市北区北10条西8丁目)
        〃  大学院工学研究院(札幌市北区北13条西8丁目)
        〃  大学院地球環境科学研究院(札幌市北区北10条西5丁目)
        〃  電子科学研究所(札幌市北区北21条西10丁目)
        〃  触媒科学研究所(札幌市北区北21条西10丁目)

■8月3日(木)

 入学式

 特別講義

    講義1「癌を防ぐタンパク質:その構造とメカニズム」
         坂口 和靖(北大大学院理学研究院 教授) 

    講義2「磁石+エレクトロニクス=スピントロニクス」
         長浜 太郎(北大大学院工学研究院 准教授)  

■8月4日(金)

 各研究室にて実験

 <実験題目>

 1.生命の色素を合成してみよう!
 2.ゼオライト触媒を使って蛍光色素を作ってみよう
 3.高圧下の二酸化炭素(超臨界二酸化炭素)の不思議さを見よう
 4.ヘルスケアチップを作ってみよう−紙とスマートフォンで化学分析
 5.計算化学体験-分子の形を決めるもの
 6.スポンジってどうやって作るの?
 7.チタンアートに挑戦しよう
 8.光輝く分子で絵画を描こう
 9.酸化物の"ひげ"結晶を作ろう
10.発光および色に関する化学を楽しもう
11.色付きガラスと七宝焼を作ろう!
12.赤く光る金のナノ粒子を作る
13.原子や分子の姿・形を見るには?:走査型トンネル顕微鏡で観る原子・分子の世界
14.光で快適な環境を―光触媒で汚れや臭いを分解する
15.野菜・果物の鮮度を保つ触媒の働きを知る
16.高分子を作ってみよう
17.鈴木−宮浦クロスカップリングを使った変色蛍光色素の合成
18.pH指示薬を作ってみよう!
19.水素の魅力教えます: 水の光電気化学分解と燃料電池体験
20.複数個の金原子からカラフルな「ナノ金塊」を作ってみよう
21.コレステロールから液晶を合成してみよう
22."分子はどのように動き、形を変えるのか?―統計的化学反応理論を越えて― "
23."電気の流れる分子を電子回路に組み込もう―固体の電気伝導の本質をさぐりながら― "
24.コンピューターで見る分子の世界
25.触媒を使ってサラダ油からマーガリンをつくろう
26.二酸化炭素からカルボン酸をつくってみよう
27.ノーベル賞の化学:生物発光と合成物質を用いた人工発光
28.アミノ酸から人工甘味料アスパルテームを作る
29.生体分子の構造を重さで決める〜質量分析技術


 卒業証書授与、送別会など

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夢・化学−21「化学への招待」北海道大学化学系への 二日間体験入学を終えて

 

安住 和久

平成29年度夢・化学−21体験入学実行委員長
北海道大学大学院工学研究院

 

日本化学会の北海道支部が主催する「夢・化学21」は,未来を担う高校生・高専生のみなさんに,授業や教科書だけでは伝えきれない「化学」の面白さ,重要性を実体験を通して知っていただく企画として毎年行われております。本年は8月3?4日の2日間,北海道大学において実施され,札幌近郊を中心に小樽,余市,長沼,旭川,滝川,帯広,釧路,大樹など,全道各地から73名の高校生諸君に参加いただきました。
初日の午後はフロンティア応用科学研究棟のレクチャーホールにて,北海道大学の2名の先生に特別講義をしていただきました。最初は理学研究院の坂口和靖教授に「癌を防ぐタンパク質:その構造とメカニズム」と題して,「ガンとは何か」を遺伝子コード・分子・タンパク質の立体構造などの視点からお話いただきました。次に工学研究院の長浜太郎准教授に「磁石+エレクトロニクス=スピントロニクス」講演いただき,磁石の成因から最近の電子スピンの話題,脳科学などへの応用まで紹介頂きました。それぞれの講義のあと質問時間となりました。残念ながら学生からの質問はわずかしかありませんでしたが,アンケートでは「質問がしづらかったので、講義終了後に個人的に行えばいいと思います」とあったように,大きな会場で皆さんを前にして発言するのは,シャイな高校生にとって勇気が要るようで,なにか場を和ませるような仕掛けが必要かもしれません。
2日目は朝から各研究室にて体験実験です。参加者は工学研究院,理学研究院,地球環境科学研究院,先端生命科学研究院,触媒化学研究所,電子科学研究所の29研究室を数名ずつ訪れ,有機物や無機物の合成反応,生物化学や光や金属を使った実験,原子の見える顕微鏡,計算機のなかに分子を再現するシミュレーションなど,創意と工夫を凝らした実験課題を体験していただきました。知識としての化学は知っていても,実際に試験管を振る機会の少ない昨今の高校生活ですが,この日ばかりは教科書にない試薬や最先端の分析機器に触れる体験ができたと思います。また実験指導員がそれほど大きく年の離れていない大学院生なので,緊張することなく実験に集中できたようです。各研究室では,実験以外にも大学の日常の紹介や,実験後にアイスを食べて労をねぎらった研究室もあったようで,最後に2日体験入学の卒業証書が渡されました。
さて,アンケート結果によれば,参加者の3割は化学系の課外活動をしている学生で,「化学に興味があった」「実験が出来る」「大学に触れた」「講義を受けてみたい」などの参加動機より,化学に対するモチベーションの高さが伺えました。講義に関しては「興味を持った」「新鮮だった」反面,「わかりやすかった」と「難しかった」が混在しており,「知らない単語が多くて難しかったが、分かりやすく説明されていた」「もう少し背景知識を持って聞いたら理解できたかもしれない」「とても難しかったが、日本の最新技術についてよく知る良い機会でした」など,程良い刺激になったのではないかと思います。体験実験については,「楽しかった」「満足した」「もっとしたい」がほとんどでしたが,「やや人まかせだった」「説明内容,語句が難しかった」「見ているほうが多かった」「実験内容が難しかった」「もっと自分でしたかった」「予習しても、やっぱり理解できずついていけないところがあった」などの声もあり,運用上改善の余地があるようです。体験入学に参加した結果,「より興味を持った」「将来、化学の道に進みたい」などポシティブなレスポンスが多く,本企画の意義を再確認することができました。
さて,本体験入学の参加者数はH26年から105名,92名,97名,89名,そして本年度の73名,また参加学校数はH26年から33,34,33,26,そして本年度の24と,近年特に減少傾向が目立ちます。参加者のほとんどは「学校の先生から」と「学校の掲示」で本企画を知ったようですが,高校・高専での認知度が低下しているのかもしれません。前年度の要旨集を理科の先生に送付し理解と協力をお願いするなどの継続的プロモーションが必要と思われます。また参加者のほとんどは札幌圏の学生ですが,これは会場が北海道大学で2日間企画であることが大きな要因と思われ,事実アンケートでは道内他大学での開催に対する要望も少なからずあることから,札幌圏以外でサテライト的に1日体験入学を実施することを検討すべきかもしれません。

 最後になりましたが,例年本企画を後援いただいている北海道教育委員会と札幌市教育委員会,また会場提供も含めて本企画を全面的にバックアップして頂いた北海道大学,そして学生受け入れにご尽力いただいた北海道大学の各研究室に,この場をお借りして感謝申し上げます。

 

 

 

■一日目


特別講義

  

 

■二日目

 各研究室で実験