■平成28年度 夢・化学―21 化学への招待

北海道大学化学系への二日体験入学 報告

 

主催 日本化学会北海道支部
共催 夢・化学―21委員会
後援 北海道教育委員会
    札幌市教育委員会
    北海道大学
日時 平成28年8月1日(月)、2日(火)
会場 北海道大学大学院理学研究院(札幌市北区北10条西8丁目)
        〃  大学院工学研究科(札幌市北区北13条西8丁目)
        〃  大学院地球環境科学研究院(札幌市北区北10条西5丁目)
        〃  電子科学研究所(札幌市北区北21条西10丁目)
        〃  触媒科学研究所(札幌市北区北21条西10丁目)

■8月1日(月)

 入学式

 特別講義

    講義1「生物に学んでガラス表面の性質を操る」
         忠永 清治(北大大学院工学研究院 教授) 

    講義2「野菜・果物の鮮度を保つ触媒の化学」
         福岡  淳(北大触媒科学研究所 教授)  

■8月2日(火)

 各研究室にて実験

 <実験題目>

 1.光る粉:合成と色の切りかえ
 2.香りの化学:小さな構造の違い、大きな香りの違い
 3.ゼオライト触媒を使って蛍光色素を作ってみよう
 4.高圧下の二酸化炭素(超臨界二酸化炭素)の不思議さを見よう
 5.ヘルスケアチップを作ってみよう−紙とスマートフォンで化学分析
 6.計算化学体験-分子の形を決めるもの
 7.デオキシリボ核酸(DNA)を増やしてみよう!
 8.光輝く分子で絵画を描こう
 9.有機ELを作ろう
10.葉っぱからの色素の抽出〜光合成の化学〜
11.原子や分子の姿・形を見るには?:走査型トンネル顕微鏡で観る原子・分子の世界
12.光で快適な環境を―光触媒で汚れや臭いを分解する
13.野菜・果物の鮮度を保つ触媒の働きを知る
14.高分子を作ってみよう
15.コンピューターで見る分子の世界
16.pH指示薬を作ってみよう!
17.水素の魅力教えます: 水の光電気化学分解と燃料電池体験
18.触媒の力で汚染地下水を浄化してみよう
19.磁石で汚染物質をキャッチする
20.コレステロールから液晶を合成してみよう
21.金や銀のナノ粒子をつくってみよう
22.数学と化学を繋ぐ:試験管を使わないで化学を楽しむ【実験中止】
23.固体における電気伝導の本質を探ってみよう―白川博士のノーベル化学賞をもとに―
24.茶を燻す!? ―ピュアなカフェインは得られるか?―
25.瞬時に成長する結晶
26.超伝導体を作ろう
27.光る!色が変わる!カラフルな分子「錯体」を使ってみよう
28.二酸化炭素からカルボン酸をつくってみよう
29.プリンはタマゴで出来ている?—タンパク質分子を、わけて、見る—

 卒業証書授与、送別会など

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夢・化学−21「化学への招待」北海道大学化学系への 二日間体験入学を終えて

 

及川 英秋

平成28年度夢・化学−21体験入学実行委員長
北海道大学大学院理学研究院

 

平成28年度の夢・化学−21体験入学は、次世代を担う高校生の皆さんに「化学」の重要性と面白さを知ってもらう目的で、 平成28年8月1,2日の二日間に渡り北海道大学で開催されました。本イベントは、北海道大学のオープンキャンパス(8月7,8日)に先んじて開催され、主に道内の稚内、函館、遠軽など各地から86名の高校生が参加しました。会場の都合で例年より早めの開催になったことが原因してか、昨年に引き続き、参加者数が若干減少しました。来年以降、積極的な勧誘も必要になるかもしれません。

一日目は、忠永清治(北海道大学大学院工学研究院)、福岡淳(北海道大学触媒科学研究所)の両先生に特別講義をして頂きました。 忠永先生には、植物の葉がなぜ水をはじくのかという身近な問いから、その疑問を分子レベルの考察で解き明かして頂きました。 さらにこの生物から学んだ原理をガラスの撥水性に適用し、窓ガラスやレンズに応用するという興味深いご自身の研究を わかりやすくご紹介頂きました。 福岡先生は、ガスの触媒反応研究の途中で予期しない反応を見つけ、 その反応を野菜を長持ちさせる方法への応用を紹介して頂きました。 野菜や果物、花といった植物の鮮度はエチレンという植物ホルモンによって調節されますが 、保存中に発生する微量のエチレンガスを細かな穴を持つシリカ粒子に吸着させ、シリカ表面上の白金微粒子の作用で酸化分解するお話でした。実際この触媒は冷蔵庫に使われているというCMを流すなど、凝った説明に高校生諸君も注意深く聞き入っている様子でした。両先生とも北大の誇る最先端研究について大変分かり易く解説して頂き、研究が製品に繋がっている話だったこともあり、好評だったような印象を受けました。ただ非常に大きなホールで講義を行ったせいか、質問の時間には学生が聞きたいけれども恥ずかしいというような状況に見受けられました。次年度以降、講師の先生がフロアにおりて直接語りかけるなど一工夫する必要があるかもしれません。

二日目は、北海道大学の化学系研究室で実験を体験してもらいました。ご協力頂いた研究室による28テーマの中から一つを選び、各自が大学での化学実験に取り組みました。高校生は、初めて目にする最先端の分析装置に驚き、授業で習っただけで初めて手にする実験器具に感動し、「学校よりハイレベルな内容も分かりやすく説明してもらい理解でき、化学により興味を持った」、「大学生活の雰囲気を味わえた」、「身近なところに化学が利用されていることを発見できた」、「進路に関わる興味対象を見つける有意義な時間が過ごせた」、「来年も参加したい」、「未知の世界を知ることができたが、興味の対象が増え、進路の選択が大変になった」など好印象が目立つ意見が多く寄せられました。最初は緊張していた高校生が実験指導の学生や教員と徐々に打ち解け合い、昼食時には実験だけではなく大学生活に関して質問する参加者の姿が想像でき、充実した一日を過ごしてもらえたものと確信しております。いずれにしても、高校では味わうことができない実験の面白さを実感してもらえたことは、体験入学を企画実行したものにとっての喜びであり、「化学」を今後益々好きになり、いずれは化学系の大学や大学院を目指してくれることを期待する次第です。
最後に、貴重な時間を割いて高校生を指導して頂いた各研究室の教員、研究員、学生の皆様、および色々とご協力頂きました日本化学会北海道支部役員の先生方に心から感謝申し上げます。また、実施にあたり講義室を提供してくださった北海道大学に厚く御礼申し上げます。そして、本体験入学の開催に際しましては、北海道教育委員会、札幌教育委員会、および北海道大学よりご後援を頂きました。重ねて御礼申し上げます。

 

 

■一日目


特別講義

  

 

■二日目

 各研究室で実験